空気が澄み、夜空が美しい季節になりました。星にまつわるお話をしようと思います。
シェイクスピアの戯曲『ジュリアスシーザー』の中で、「俺は北極星のように不動だ」というシーザーの台詞があります。
それに影響されたわけではありませんが、私はつい最近まで「北極星が時代によって変遷する」ことを知らずにいました。
現在の北極星(ポラリス)はこぐま座のアルファ2等星です。しかし、約5000年前ではりゅう座のツバンが北極星でした。今後約8000年後には、はくちょう座のデネブが、1万2000年後には「織姫星」と呼ばれているベガが北極星になるのだそうです。
これは、地球の地軸が2万6000年周期で傾きを変える「歳差運動」なるもののためです。(と、宇宙図鑑で学習しました)
常に真北の中心で輝く星として、航海や天体観測の目印とされる北極星も、時代が移り変われば交替するのです!
とすれば、この宇宙に変わらないものなどないのかもしれません。
そう考えていくと、変動著しい昨今の状況にも、さほど心を乱さずにいられそうです。何となく拘っていることや変えられずにいることも、瑣末な事のように思えてきます。
「え⁉︎ 北極星って変わるの?」と気づいた日から、図鑑を引っ張り出してあれこれ調べたりググったりした結果、そうした感慨に至った次第です。
因みに、「俺は不動だ、天空にあって唯一動かざる北極星のように。」と豪語したシーザーは、その後すぐに信頼していた部下に裏切られ「ブルータス、お前もか」と言ってその生涯を終えます。
傲慢さはもちろんですが、不動や不変はかえって危険なことなのかもしれません。